一般投資家向け

「保険代理店」が「IFA」に参入する意義は?

エフピーサポート株式会社 取締役 (当協会理事) 可児 康充さん

「保険代理店」と「IFA」の両方の事業を行っている会社が注目されています。2019年に保険代理店からIFA事業を立ち上げ、お客様のライフプランニングに基づいて保険と投資性商品から提案を行い、長期的な資産形成をサポートしている、エフピーサポートの可児康充さんに聞きました。

――保険代理店から、IFA事業を立ち上げた経緯について伺えますでしょうか。

可児康充さん(以下敬称略):エフピーサポートは、創業当初は保険代理店でした。私は2005年に入社して2017年からメンバーとともにIFA事業の準備を始め、2019年4月からIFA事業をスタートしています。

お客様のライフプランニングをご一緒に進めていくなかで、中長期的視点で考えると、保険だけでなく、投資性商品も含めて幅広くご提案する必要性を感じたことがきっかけです。

IFA事業のスタート時から、IFA法人のGAIA社長及び当協会理事長の中桐啓貴さんにきめ細やかにご指導をいただきました。

――保険代理店とIFA事業、両方を行っている会社はまだ少ないと聞きます。

可児:そうですね。保険代理店に所属しながら、他のIFA事業者に委託型で登録をしている保険募集人ケースもありますが、保険系IFAの中でIFA事業と両方を行っている会社はまだまだ少数派です。

弊社がサービスインした際には、事業について未知数の要素が多く、大きなチャレンジでした。社員全員でお客様のライフプランニングをもとに真摯に伴走する姿勢をもち、資産残高を右肩上がりに増やしていくことに邁進してきました。

現在は19社の生命保険会社と9社の損害保険会社の保険商品に加えて、幅広い投資性商品のなかから、お客様のライフプランやご要望、リスク許容度などに応じて最適な形をご提案できるようになっています。

――IFA事業をスタートして、社員の方々にも影響はありましたか?

可児:はい、保険代理店のみの事業では、お客様の資産形成をされる際には、ご提案できるのは保険だけになり、変額保険や一時払いの外貨建て保険が中心でした。もちろん、保険は死亡保障や相続税対策など「誰に何のためにお金を遺したい」をあらかじめ指定できるなどのメリットもありますが、「自分の為にお金を増やしたい」ときにコストが高かったり、解約控除があるなどのデメリットもありました。また、保険事業では社員の給与が歩合の要素があり、収入が安定しない悩みを聞いたりもしました。

しかし、IFA事業を始めたことで、長期にわたる資産形成のご提案が可能になり、残高フィーでの収入増やお客様からの紹介が増えるなどさまざまな問題点が改善されました。金融のトータルアドバイスができるようになり、お客様からの信頼度向上になっています。

将来を見据えて中長期的なアドバイスをお届けできるようになり、社員の満足感も高まり、お客様とのよりよい関係性と幅広いサポートにつながっていると感じます。

今はNISAやiDeCoなどの税制優遇がある仕組みが整っていますし、一つの会社で、保険と投資性商品を組み合わせてご提案できることは、大きな強みだと感じます。

――お客様の反応はいかがですか?

可児:保険のことのみならず、「資産が増えたので、どうやって運用したらよいかな」「銀行や証券会社で、このようなタイプの商品を紹介されたけれど、どう思う?」といったお悩み事を気軽にご相談いただく機会が増えました。

IFA事業を行っている会社はまだ少ないため、「こんなにアドバイスをもらって、アドバイス料を払わなくていいの?」「どうやって利益が出ているの?」と驚かれることも多々あります。

その際には、ビジネスモデルについて改めて丁寧にご説明しています。「投資性商品の中でも主力商品である投資信託には購入時手数料と信託報酬といった手数料があり、私たちは購入時手数料(約3%)はいただいておりません。一方で信託報酬はどこの金融機関で購入してもかかる手数料です。その一部を私たちがいただいている」ということ。そして「そのため、お客様の資産が増えれば増えるほど、私たちの収益も増えるので、双方の利害が一致しているですよ」とお伝えすることで、ご理解をいただいています。

お客様の将来のことを一緒に考えながら、保険や投資性商品などさまざまな選択肢からお選びいただけるため、「安心感が増した」というお声もたくさんいただいています。

――IFA事業によって、従来とは違うビジネスモデルが導入されたということですね。

可児:そうですね。例えば投資信託の「購入時手数料」を利益とするビジネスモデルの場合は、金融庁からの昨今の指摘がニュースにもなっていましたが、お客様のニーズに沿わない売買を促すようなアプローチをしてしまうケースがあるかもしれません。しかしそれでは、お客様の長期的な資産形成と、相反する可能性もあります。

一方で、弊社のIFA事業では、資産残高に対して手数料をいただくフィー型モデルですので、お客様の長期的な資産形成と、私たちの収益とが同じ方向を向いているのです。

これからの時代、保険を販売して手数料をいただくビジネスモデルにとどまらず、お客様の未来に向けて伴走しながら、会社としても収益も得ていくビジネスモデルをいかに作れるかというところが重要なポイントだと思います。

お客様にも、「お客様のご資産が増えることが、私たちにとっても嬉しいことなのです」と、この仕組みをお伝えしています。そのためには、会社としても長く存続していくことがより大切だと感じますね。

――投資性商品は金融機関で個人が買うこともできますが、金融機関と異なる点はありますか?

可児:金融機関では転勤があるため、「良い担当者がいても、数年で変わってしまう」というお悩みがあるお客様も多いようです。

弊社ですと、お客様の担当者は基本的にずっと変わりません。担当者が責任をもって、長期的にお客様に伴走し、資産形成のお手伝いができることを評価いただいております。

保険や投資など幅広い選択肢を持てることで、資産を「まもる」「ふやす」「のこす」といった包括的にアプローチができるようになって、以前より、お友達やお知り合いなど、新たなお客様をご紹介いただく機会が増えました。それに伴ってご契約件数や資産残高も増えております。

――これから、どんなお客さんに向けてご提案をされていく予定でしょうか。

可児:現在の主なお客様は保障も投資も必要なアッパーマス層(金融資産3000~5000万円未満)とマス層(金融資産3000万円未満)のみなさまが多く、今後も継続してまいります。

若い方々はこれから結婚する方や、教育資金を準備する方など、長い人生においてさまざまなライフイベントがありますよね。そういった未来予想図を丁寧に伺いながら、保険や資産運用などをご提案をすることで、よりよい人生のお手伝いをできたらと考えております。

保険代理店とIFA事業の両方を行っているからこそできる「まもる」「ふやす」「のこす」の3つのキーワードを大切に、これからもお客様とともに歩んでいけたらと思います。